甘い話には罠が潜んでいる

 ソフトバンクモバイルは、誇大広告、難解な特別割引に続いて、第3世代(3G)携帯電話の最新機種14種を発表、新製品の20色展開などのサービスを売りにしている。新世代用の特徴は、薄い携帯電話を目指している印象が強い。

 わたしが勤めるソフトバンクショップでの売れ筋は、910SHと911SHのワンセグ携帯だ。911SHは地上デジタル放送を見ることができるワンセグチューナー内蔵、910SHは業界初500万画素のデジカメ機能に惹かれるようだ。いずれも、シャープの製品である。しかし、ショップよりも量販店を優遇しているので、在庫切れ状態だ。

 911SHと910SHの価格は一括払い(非スーパーボーナス契約時)では4万円程度。しかし、ローン販売になると約7万5000円程度になる(新規契約時の価格)。機種変更は契約実績期間に応じて割り引かれるが、2月15日から機種変更は割賦、通常ともに1万円程値上げになった。

 今春の新製品の812SHは20色で展開中だ。同じ製品で20色を発売するとは常軌を逸している。ブラック、ピンク、ホワイトといったベーシックな色が人気で、奇抜な色は動かない。ショップにも全色入荷したが、色によっては1台のみの入荷しかなかった。

■故障が多いシャープ製

 薄い携帯電話は、韓国のサムスンがメインだが、「外国のメーカーは嫌だ」「韓国はダメだ」という理由で敬遠され、シャープと東芝以外はあまり売れない。

 「ソフトバンク=シャープ=人気機種」という図式だが、このシャープの機種が壊れやすい。

 ボーダフォン時代の2005年春、V802SH、V902SHという機種が発売され、画面が固まる(フリーズ)、勝手に電源が落ちる、電源のオン・オフを繰り返す、電源投入不可、片通話、圏外表示、充電不可等などの不具合機種でクレームの嵐だった。

 対象は、販売されたすべての端末である約49万台。802SH、902SHすべてが不具合端末だった。

 あまりにもクレームが多かったので、2005年6月にシャープからスタッフ全員に1万円が支給された。クレームによる疲弊で、現在同様に辞めていくスタッフが多かった。

 現在でも、この機種の後継機(903SH、904SH、905SH、910SH、911SH、804SH、810SH、811SH、703SH、705SH)シリーズに故障が多いと感じる。中でも703SHと804SHと903SHは他の後継機と比べても、フリーズ、電源が勝手に落ちる、電源オン・オフを繰り返すなどの電源系の故障が多いようだ。

■欠陥端末をつかまされたときの交換方法

 初期不良品の場合、購入後10日以内であれば購入したショップで故障の再現性があれば、新品交換はほぼ可能だ。ただ、ときどきしか発生しない故障現象では新品交換が難しい。そして、購入後10日を過ぎると、ほとんどのケースは、メーカー発送による故障対応扱いになる。

 しかし、ここで、修理を一度は行なったという「故障の履歴」を残すことが大切だ。

 修理が完了しても、フリーズなどが発生した場合、お客様センターに直接交渉だ(フリーダイヤル0088-21-2000、ソフトバンク携帯からは157)。オペレーターに何回も何回も問い詰めれば上司が出てくる。ここで粘り強く、強い口調で続け、「こんな機種は使えない」「違う機種と交換してくれ」と要求をひたすら突きつける。そうすれば最終的にお客様センターが折れ、異機種交換の話が発生か、何らかの補填の話があるだろう。

 毅然とした態度で「正論」を訴え続けることが泣き寝入りをしないコツだ。

■自宅で通じないというエリアクレーム

 都市部、商業施設等では大丈夫だが、少し離れた田舎や、山が近い所などでは電波が弱く、使えないといったエリアクレームもある。

 『神戸新聞』(1月30日付)に「0円携帯」解約に6万円_県、ソフトバンクに改善要望という記事が出ていた。そこにも、自宅でも使えないと出ていた。

 このようなエリアクレームが多いのに、ユーザーを無視し、まだつながらない地域が多い3G携帯をメインに販売している。マニュアル「切り返しトーク」にも、「3Gの基地局は、他社よりも多い4万6000局を今年度中に設置する予定。ちなみに、ドコモは4万4000局」とある。これは予定であって、決定ではない。

■有益と確信するまで焦って契約してはいけない

 今まで、私はソフトバンク店員が詐欺的商法を告発「客だけでなく店員も舐められているんです」や、続・ソフトバンク店員が詐欺的商法を告発「孫正義は学習能力がないんです」で、ソフトバンクの誇大広告の問題、難解な特別割引の仕組みなど、お客様が騙されやすい部分について伝えてきたが、この春にソフトバンクショップを去る。

 番号継続制度が解禁された2006年10月以来、「お客様を欺いてしまったのでは」と思いながら売り場に立ち続けてきた。ストレスから薬を服用し、定期的にクリニックに通って点滴をしながら勤務している。

 私はソフトバンクショップを辞めるが、消費者の皆さまは決して騙されずに、泣き寝入りをしないでほしい。甘い話には必ず罠が潜んでいる。正しい情報、自分にとって確実に有益であると確信するまでは焦って契約してはいけない。