ひろゆき vs 切込隊長──第6回口頭弁論 次回で結審か
山本氏側は、前回の尋問で求められていた証拠書類を提出。次回、西村氏が出廷しなければ結審になる見込み。
訴えによると、山本氏は、2ちゃんねるの「投資一般」板で、誰もが閲覧可能な状態のなか、匿名の書き込みにより誹謗中傷されたとして、名誉毀損にあたる書き込みの削除を要請。そのうえで、今後、「山本一郎」や「切込隊長」などのスレッドを立てないようにすることを求めている。
これに対して、代理人を立てていない西村氏は、(1) 訴状の郵便が届くまで書き込みの内容を知らず、権利侵害を知り得なかった、(2) 訴状が届いた後は、一連の書き込みを削除した──などとして、訴えを認めていない。
この日の口頭弁論では、原告、被告ともに出廷しなかった。山本氏側の小倉秀夫弁護士が複数の証拠のコピーや、「これまで2ちゃんねるに発信者情報の開示請求をしたが、西村氏は開示には応じていない」とする別の弁護士の上申書の原本を提出した。また、氏名権(人格権)の主張も加えた。
小倉弁護士によると、提出した書類は、(1) 山本氏が代表取締役を務める「イレギュラーズアンドパートナーズ(I&P)」から、西村氏が設立した「東京アクセス」に振り込んだことを示す銀行口座のコピー、(2) メディアNPO「神宮前.org」を乗っ取ったと主張する西村氏の証言を覆す内容を示した書面、(3) 2ちゃんねるの誹謗中傷対策に、西村氏が積極的ではなかったことを示す、山本氏と西村氏の間で交わされたメールのコピー、(4) 2ch.netを管理する会社が法人登録されていないことを示す書類──など。
前回の口頭弁論では、原告の山本氏、被告の西村氏ともに証言台に立ち、直接対決し、お互いの認識の違いを示す格好となった。西村氏は代理人を立てていないため、原告に対し、西村氏が直接尋問し、火花を散らしていた。
その中で、山本氏に関して、「会社の金を数百万円を持ち逃げした」などとの書き込みがされていたことについて、山本氏は、「2000万円強」の広告収入のうち西村氏側の取り分については、I&Pから、「東京アクセス」宛に「支払った」と証言していた。これに対し、西村氏は、「I&Pから振り込まれたことはない。横領は事実だと思う」と反論。証拠を求めていた。
また、2ちゃんねるの誹謗中傷対策について、山本氏は、「(西村氏は)あまり積極的ではない印象」と答えていた。その証拠について、西村氏から問いただされると、雑誌『サイゾー』でのインタビューやメールのやりとりの内容から判断できると話していた。
一方、西村氏は、山本氏について、テレビ出演をしたり、歌を作ってCDを販売していることを理由に、「芸能人として考えている」といい、削除のガイドラインは、一般人と異なることを主張した。また、削除する場合について、(各板の)管理人がするが、削除するかしないかは「依頼してみないとわからない」と発言していた。
2ちゃんねるの削除ガイドラインによると、芸能人の場合、個人名や住所、所属について、公開されているものや情報の価値のあるもの、公益性のあるものは削除しない。また、誹謗中傷については、管理人の裁定がない限り削除しない、とされている。
山﨑裁判長は「次回(の口頭弁論に)西村氏が来なければ、弁論集結ということにしましょう」と述べ、今後、西村氏側が出廷しない場合は、結審する見込み。
次回は11月26日午前10時30分から。
小倉弁護士は、I&Pから東京アクセスに振り込まれた額は「1400~1500万」とした上で、「山本氏が会社の金を持ち逃げしたとは言えない」と語った。また、「氏名権」を追加したことに対して、「氏名権は強い権利ではないが、スレッド名に何度も使われるのは氏名権の侵害ではないか。からかったり、中傷する目的では正当な用法とは言えない」と話した。さらに、「2ちゃんねるの書き込みは、事実上、西村氏が支配している。そのため、発信者は西村氏といえる。(画像ちゃんねるで)児童ポルノの画像が掲載されたときに、管理人が情報の発信者として逮捕された。その論理と同じではないか」と述べた。