日本の代表ではなく、もはや世界のスーパースター

 7月10日、サンフランシスコで行われた米大リーグの第78回オールスターゲームで、1番センター、スタメンで登場のイチロー選手(マリナーズ)が、3打数3安打、5回にはオールスターゲーム史上初というランニングホームランを放った。その活躍が評価され、今年のオールスターゲームのMVPに輝いた。

 試合終了後のMVPの表彰のセレモニーに、主役は腹ペコのまま登場した。イチローは試合途中で球場をあとにして、予約したイタ飯屋で食事をする予定だったという。

 しかし、大リーグ関係者が、主役候補をおいそれと解放するはずもなく、イチローいわく「帰ろうとしたら、捕まえるぞ(笑)」と言われて、食事をキャンセルしたそうだ。

 そしてMVP獲得。試合も9回までア・リーグの快勝ペースだったが、最後は1点差まで追い上げられ、二死満塁と白熱した展開だった。

 本人も「最後はドキドキしてしまい、(MVPが)段々欲しくなってきた」と素直な感想を述べた。

 今シーズン、前半戦終了時に3割5分9厘と過去最高の成績で、打率2位での折り返し。

 今年で34歳になるが、衰えどころか、まだまだ進化し続けている印象がある。

 本人もまだまだ高みを目指して日々努力を重ねている。日本人として、というよりは、もはやメジャーでも屈指のスーパースターになったと言っても過言ではない活躍ぶりだ。

 メジャー1年目の首位打者、シーズンMVP獲得、2004年のシーズン最多安打記録達成、2度目の首位打者獲得に続く3度目の獲得もじゅうぶん視界に入っている。

 このMVP会見でも、日米の記者を前にイチロー節が炸裂(さくれつ)した。

 「打率が2割2分でも良いなら、40本(ホームラン)くらいは打てるとでも言っておきましょうか。でもそんなの誰も望まないでしょう」

 「(MVPの)トロフィーは、小さいですよ。(副賞の)車は大きいですけどね」

 グラウンドの上だけでなく、コメントもキレがあるイチロー。後半戦も彼から目が離せない。

追伸:地元シアトルのマスコミに、マリナーズとの来期以降の契約金が5年1億ドル(約122億円)でまとまりそうだというニュースが流れた。試合もグラウンド外もイチロー一色の米大リーグであった。